駿足フェラーリは“床を動かしている”?
Mar 24, 2007
マクラーレンが、フェラーリに“異議”申し立てを行なった。同じくザウバーBMWにも同じ疑惑がかかっている、というニュースが流れた。
「同じ疑惑」とは、“床が動く”ことである。
F1のレギュレーションでは、『空力付加物は動いてはいけない』ことになっている。また、ボディ下面の前後タイヤの間は平らでなければならないが、フェラーリF2007とザウバーBMW F107は、何らかの方法で床が動いて平らではなくすることでダウンフォースを稼いでいる、というのだ。
これまで出ていた「動いてはいけないはずの空力付加物(例えばウィング)が動く」と言う表現をしたときに、一般的に考えられるのは、“空気抵抗でたわんだり、反り返ったりする材質を使っている”と解釈されていた。しかし、ここに驚愕の裏情報がある。動くではなくて、「動かしている」というのだ!
事実なら確信犯
フェラーリから某チームにエアロダイナミストが移籍した。彼は、「フェラーリでは、アクチュエーターを使って、積極的に動かしていた」のだと証言したという。それを聞いたエンジン設計者は、「だったらうちはエンジンのボア×ストロークを変えてもいいってことになる」とつぶやいた。単に「空気抵抗で曲がった」のではなく、積極的に動かしているのだとしたら、それは確信犯だ。
しかし、仮にホンダがエンジンのボア×ストロークを変え、今のフェラーリのように強くなったとすると、どうなるかは火を見るよりも明らかだ。間違いなく、今まで車検で検査されたことがないエンジンが開けられ、即刻失格に違いない。
しかし、フェラーリが、仮に床を動かしていたとして、それに対しておとがめがないのには理由がある。それは、フェラーリだからであり、F1が、ヨーロッパを本場とするよそ者を寄せつけようとしない狩猟民族の世界だからだ。
日本チームはフェラーリになれるのか
フェラーリは、1950年にF1の歴史が始まって以来、参戦を続けている。今のようにトップに君臨していたわけでもなく、負けが続く苦しい時代もっあった。だが、継続してF1に『貢献している』。だから、ある程度のことは許される、という見方がある。
悔しかったら、同じように歴史を重ねろ、ということだ。言い方を変えれば、村人になってレギュレーションをコントロールする側にならないかぎり、一筋縄には行かないぞ、ということだ。
「フェラーリは村長さんと仲良しの古くからの住人ですから。我々は通行人。いいお客さんであっても、村人ではない」とはとある日本人エンジニアの独り言だ。これはある種、的を射ている。金持った余所者の黄色い猿は、そうそう簡単に住民にはなれない。
さて、この噂はあくまで噂であって立証された話ではないが、こんな話もある。
以前、ホンダのエンジニアがフェラーリのリヤウィングが「動く」ことを、車載カメラの映像と最高速とエンジン回転のデータを比較した結果をFIAの技術委員に見せ、感想を求めた。FIAの技術委員は、ビデオを見て、説明を聞いた後にこう言ったという。「そうなると言うのがあなたの意見ですね? あなたの意見は分かりました」と。
そしてこう付け加えた。「もし、アナタのチームのクルマがそういう状況になった時には、なぜ動くのか説明してください」。要するに、フェラーリの現実を直視しようとせず、“仮にアナタがやったら摘発しますよ”という遠回しの恫喝にも取れる。
しかし、モノには限界というものもある。仮に床が動いてフェラーリが速いのだとしたら、すばらしいF1のイメージは台無しだ。
ホンダが「地球色」で地球環境との共存を提唱したように、F1がひたすら興行に突っ走るだけでなく、スポーツであることを証明するために、この問題に対してFIAがどう動くか、注目されるところだ。
(Masami Yamaguchi/MYS)
